4.「その科白、そっくりそのままお返し致します」
 ―ヒューズ+ホークアイ+ロイ―

ホークアイは上官である彼の執務室で書類の選別を行っていた。
急ぎの書類とまだ猶予のある書類とに分けて、更に処理が捗るように書類の順も並べなおす。
彼は中央から視察だと言ってやって来た将軍のお供をしている。
この忙しい時期を将軍は態と選んで視察に来ているのだ。
一種の嫌がらせである。
しかし、彼はそれに対して、さほど気にした風もなく将軍の視察とやらに付き合っていた。
『これくらいで音をあげるわけにはいかない。』
彼はさらりとそう自分へ言った。
その言葉の中に彼の強さを垣間見た。
だから、自分は彼のために出来る精一杯の手助けをする。

コンコン、と軽いノック音が執務室内に響いた。
この部屋の主が戻ってきたのかとも思ったがそれならばノックなどしまい。
「はい?」
一応返事を返すと、ゆっくりとドアが開かれる。
「よ、中尉。一人か?」
そこに居た人物は彼の唯一の親友ともいえるヒューズであった。
片手をあげて軽い挨拶をし、後ろ手にドアを閉めながら部屋の中を見回す。
そうしてこちらへと歩み寄るヒューズに微かに苦笑を向ける。
「本日は中央より将軍がお見えで…」
「あー…なるほどな…」
ヒューズもやはり苦笑を浮かべて頷いた。
大体のことは伝わったらしい。
「で、お前さんは書類の整理か?」
整えた書類を彼のデスクに並べるその手元をヒューズが覗き込む。
「はい、そうです。」
書類をデスクへと並べ終え、ヒューズへと向き直る。
ヒューズもデスクを覗き込んでいた視線をホークアイへと移す。
「ロイの為にか?」
問いかけに一瞬、間が空くも淡々とした口調で、
「そうです。」
その答えにヒューズが柔らかく微笑みながらホークアイを見つめた。
「中尉はロイのやつを本当に大事にしてくれてんだな…」
ヒューズの言葉に目を見開き、言葉を失ってしまう。
「そうだろ?ロイはお前さんにとって大切な存在なんだろ?」
ホークアイは目を伏せ静かに深呼吸をする。
それからその真っ直ぐな眼差しをヒューズへと向け、落ち着いた口調で、
「その科白、そっくりそのままお返し致します。」
今度はヒューズが言葉を失い、ホークアイを見つめる番だった。
ヒューズは何度か瞬きをし、軽い笑い声を上げる。
「ははは、流石中尉だな。」
それから笑みを浮かべ、しかし瞳に宿る光は鋭く、
「ああ、俺はあいつが大切だ。だから、あいつのこと頼むぜ、中尉。」
真っ直ぐに真剣な眼差しを投げかけてくる相手に対し、ホークアイは微笑を浮かべる。

――答えなど一つだけだ。

 


勢いまかせで書いてますね、このお題たち…
ヒューズと中尉の会話…
書きたかったのですが、ちょっと微妙になってしまいましたかね。