1.「一生かけて償ってみせろ」
 ―ヒューズ×ロイ―

士官学校学生寮のとある一室。
ヒューズは自分のベッドに寝そべっていた。
そして、同室の人間に先程から視線を向けては外し、向けては外しを繰り返している。
「おい…ヒューズ、いい加減にしろ。」
それに気づかぬ相手ではない。
案の定、不機嫌そうな顔でヒューズを睨みつけてきた。
「あ…わりぃ…止めるのか?」
本に栞を挟み閉じてしまう相手を見やり、身を起こしながら問う。
「気が散って読めないのでな。誰かのせいで…」
彼は『誰か』の部分を殊更強調しながらそれに答えた。
軽く肩を竦めて、「悪い」と謝罪を述べても不機嫌そうな表情は戻る事がなかった。
本をそのまま机に置き、ヒューズの向かい側のベッドに腰を下ろす。
読書の邪魔をされることを彼は極端に嫌う。
それをわかっていたから黙ってベッドに横になっていた。
だが、やはり気になるのだ。
彼が黙々と活字を追う姿があまりに美しいから。
睫が影を落とし、黒曜石のような瞳に宿る真っ直ぐな光。
白く細い指先がぱらりとページを捲る仕草。
それを見るのが好きだった。
「悪かったよ…もうしないって…」
「それは何度目の台詞だ、ヒューズ。」
信用できない、といった眼差しと言葉に一瞬言葉が詰まる。
「そりゃそうだけどよ…」
困ったように苦笑を浮かべ、相手のご機嫌を取ろうと必死に言葉を探す。
「何が面白くて人の顔をちらちらと見ているのか…」
ぶつぶつと文句を紡ぐ様子に困りながらも、心の奥に愛おしさが募る。
ヒューズは自分のベッドを降り、相手の横に移動する。
「……なんだ?」
隣に腰を下ろせば、僅かにヒューズより低い位置にあるその肩がぴくりと揺れる。
相手の身体を包み込むように抱きしめ、耳元で低く甘い声で、
「悪かったよ、ロイ…」
そう囁けば、びくりと腕の中の身体が強張る。
あまりにも素直な反応に笑みが零れる。
おそらくその笑みが視界に入ったのだろう。
相手の頬が赤く染まり、ふいと視線をそらされてしまう。
どくどくと鼓動の速さがぴったりとくっついた身体から伝わってくる。
髪を梳き、相手の頬に口付けを落とす。
何度も耳元で「悪かった」、「ごめん」と囁き続ければ、すっかり俯いてしまった相手が腕の中に…
そんな相手の顎に手を添え、上を向かせる。
柔らかな笑みとともに口付けを降らせながら問うてみる。
「なあ、ロイ?」
それに対し、彼は真っ赤な顔できっと睨みつけ、
「一生かけて償ってみせろっ…」
その台詞にヒューズは目を見開きまじまじと相手を見詰める。が、すぐに声を上げて笑い出してしまう。
「な、なんだ…」
仏頂面でヒューズを見上げてくる彼の肩口に顔を埋めると、抱きしめる腕に力を込める。
「敵わねえな、お前さんには…」
くつくつと笑いを零しながら、しっかりと彼を抱きしめていた。
その台詞が意味するところもヒューズはしっかりと受け止めていた。

 


微妙な文章になってしまいました。
そもそも、お題の台詞こういう使い方をするつもりじゃ…
勢いで書きましたらこんな滅茶苦茶なものに仕上がりました…
お題の台詞には機嫌を損ねた事の償いと心を乱したことに関しての償いの二つの意味が…あったんですがー…
あ、一応ヒュロイです…(笑)