オヤツ

そよ風が木技の葉を揺らす公園。
噴水のある広場にはカップルと思われる二人連れや親子連れの姿があちこちに見られる。
赤いコートを着た金髪の少年が広場の端に置かれたベンチに座り、ぼんやりと行き交う楽しげな人々を眺めていた。
不意に視界を遮るように顔を覗き込まれ、焦点を目の前の人物に結ぶ。
「大丈夫かね?」
首を傾げながら問いかけるその相手は軍服と黒いコートを纏う青年。その両手には不釣り合いなアイスクリームを持っていた。
「ああ、何でもない…」
少年の答えにそうかと顔を引き、代わりに右手に持つアイスクリームを差し出す。
それを少年が素直に受け取るのを確認し、青年はベンチに腰を下ろす。
「ヘンだな…」
アイスクリームを美味しそうに食べている青年を横目にボソリと呟く。
「は?何がだね?」
「オレ達が。」
軍人の青年と幼い少年がベンチに並んで座りアイスクリームを食べていると言うのは、端から見ればさぞかし不思議な光景であろう。
親子にも兄弟にも見えない二人だ。
現に先程からチラチラと通り行くもの達が二人へ視線を向けていく。
「まあ、仕方がないさ…」
微笑を浮かべながら少年を見遣ると、手にしたアイスクリームが溶け始めていた。
「ほら、垂れるぞ…」
青年の警告も間に合わず少年の手をアイスクリームが濡らす。
「あ…」
「だから言っただろうが…」
自分のアイスクリームに気を配りながら青年が少年のアイスクリームを持つ手を取り引き寄せる。
そして、指に垂れたアイスクリームを舌で拭った。
いきなりの青年の行動に少年はそのまま硬直してしまう。
が、すぐさま正気に戻ると周囲を慌てて見回す。
ちょうど誰も通りかかっていないところだったらしい。
ほっと胸を撫で下ろし、少年は青年へ抗議の声をあげる。
「いきなり何すんだよ!変な目で見られるだろうがっ!」
頬をうっすらと色付かせ巻くし立てる少年に青年は首を傾げ、掴んでいた手を放す。
「何をそんなに怒っているんだね?」
「…もういいよ。」
不思議そうにしながらアイスクリームを口にする青年と諦めたようにアイスクリームを頬張る少年――二人の穏やかなオヤツの時間はこうして過ぎていた。

 


夜中に携帯でちまちま打った作品です。
テーマは指を舐める…

(05.07.29〜05.12.20)