Halloween

 This is the night of Hallowe'en

 When all the wiches might be seen;.

 Some of them black, some of them green,

 Some of them like a turkey bean.



その部屋に入った瞬間にロイは思わず足を止める。
あどけない少年の歌声が響いては止まり、止まっては響いてを繰り返していた。
小さな小さなそのBGMを傍らにもう一人の少年は黙々と読書に励んでいる。
ロイは己の執務室であるはずなのだが、全く別の場所に紛れ込んでしまった気分がした。
ふいに何度も同じ歌を口ずさんでいた鎧姿の少年が顔を上げる。
それと同時にBGMも途切れた。
少年がかしゃんと音を立てながら礼をする。
「お邪魔しています。」
「ああ…久しぶりだね…」
漸くロイは笑みを浮かべ、己のデスクに向けて歩みを進める。
ちらりと視線を向けた鎧の少年――アルフォンスの兄である赤いコートを纏った小さな少年――エドワードは一向に本から顔を上げる事がない。
おそらく、ロイがやってきたことに気がついていないのだろう。
そうなると先程アルフォンスの口ずさんでいた歌も聞こえていなかったのかもしれない。
ロイの視線に気がついたのか表情の変わらない鎧で苦笑する風な空気を漂わせ、すみませんと小さく謝罪の言葉を少年が述べた。
「いや、いつもの事さ。それより、先程の歌は?」
こうして弟とロイが会話をしているのすら耳に入っていない風なエドワードからからアルフォンスへと視線を移す。
首を傾げたアルフォンスはすぐに何を指しているのかを理解し、ああと声を漏らした。
「もうすぐハロウィーンじゃないですか。この時期になると母さんがよく口ずさんでたんですよ。」
アルフォンスがはにかんだ様に見えた。
「なるほど…母親がか…」
この兄弟にとって母親の存在は大きい。
――禁忌へと踏み込ませたほどに…
「母さんがいつも衣装を用意してくれて、それを着て村の家を回って歩いたんです。『Trick or Treat?』って…」
デスクについたロイは嬉しそうに語るアルフォンスの話を聞きながら、その風景を思い浮かべた。
無邪気な子供二人が魔法使いやお化けの装いをして家々を巡り歩く。
二人で貰ったお菓子の取り合いなどしたのだろう。
その暖かくも切ない光景がすぐに思い浮かぶのだが、今目の前に居る二人に結び付けられなかった。
それはきっと、彼らが今はそれらからかけ離れた場所に居るからだろう。
「あれ?大佐、いつ戻ったんだよ。」
語っていたアルフォンスを遮り、エドワードの声が耳に届く。
「もう、兄さんってば…」
呆れた風なアルフォンスの声。ロイは笑いを漏らした。
「相変わらずだね、君は。」
昔の幼い頃からは何かは変わってしまったのだろうけど、ロイの知る限りでエドワードは変わらない。
弟に窘められる所も、人並みはずれた集中力も、瞳の焔も…




今夜はハロウィーン

魔女に会える夜

黒い魔女 緑の魔女

トルコ豆のように赤い魔女

 


というわけで、ハロウィーンネタでした。
マザーグースを利用してみましたが、上手く利用しきれてませんね。
雰囲気を楽しんでください…
ちなみに参考にさせて頂いたサイト様は
こちらになります。

(05.10.24〜05.12.20)