親愛なる我が友 マース=ヒューズに宛てる
驚け。
私はこの度北方へと移る事になった。所謂左遷というものだ。
まあ、下手をしたら軍法会議でそれ相当の処罰を与えられても決して可笑しくは無かっただろうからこの程度で済んだ、と思うべきだろう。
生憎とお前よりも遥か下になってしまったものだ。
だが、これだけはお前に言っておこう。
まだ俺は掲げた目標を完全に捨て去った訳ではない。
北への移任を決めた時、不意に昔お前が俺に言った言葉を思い出した。
「なぁロイ、お前さんの炎は水の中や氷の上でも通用するのか?」
その答えは焔を喪ってしまった俺には答えられないと思うか?
答えは、ノーだ。
例え氷の中であっても要素さえ揃えば焔を燃やす事は出来る。
だが、今の俺はそれが出来ない。奪ってしまった命は大きく、重過ぎた。
だから、せめて俺自身が“氷の中で燃える焔”でありたい。
例え一兵卒に身を降としても。
最後にこれしきの口上にマース=ヒューズ准将殿の眠りを妨げてしまった事を深くお詫びしたいと思う。
ロイ=マスタング
随分昔に頂いた手紙の形の作品です。
なり茶の感じが少し混じっていたりします。
緑風さんの作品は短い物でも奥が深く思えます。本当に尊敬。
緑風さんありがとうございましたv